110円のダイヤモンドで美味しい珈琲を飲む方法。

ついに手を出してしまったコーヒーミル。
のめり込む性質なので市販の粉コーヒーとドリッパーで我慢していたのです、ずっと。
しかし先日、豆屋さんと知り合いになったのを機に買ってしまいました。

コーヒーは20代の頃にコーヒーに煩いオーナーのいる喫茶店でドリップを担当したり、コーヒー豆の会社の研修を受けたりと、何も知らないわけではありません。
がずっと見てみるふりをしてきました。

コーヒー、オーディオ、時計、ナイフ。
この4点に深く手を出すのをやめておこうと誓ったのです、遠い昔に。
コストもさることながら無駄に使わない道具が増えていくから。
使わなくなった道具って、あまりにも不憫で。

あとコーヒーの楽しみのひとつが美味しいこと。
これはコーヒーだけでなく茶道にも通じると思うのですが、豆や道具、淹れ方だけでなく、美味しいコーヒーを淹れるときに大切なのは心遣いだと思っています。
安い食材でも調理次第で美味しくなるというヤツです。

などと言いつつ、購入したのはカリタのコーヒーミル KV-1N。
キャンプで使いたいので手挽きです。
カラバリはこのナチュラルのほかブラウンもあります。

で、このコーヒーミルですが、使った感想はでかく、そして重い。
粉受けは30gの容量がありますが上に入るのは20gくらい。
ま、このあたりは想定内なのでいいのです。
いちばん気になったのは均一な粉が挽けないこと。
では実際に見てみましょう。

カリタのコーヒーミル KV-1N。ナチュラルカラーです。


とりあえず5gを挽いてみます。

挽いた粉が均一ではないのです。

とりあえず5gを計って引いてみます。
粉をよく観察すると完全にパウダーになっている部分が多くあります。
粒状性も均一ではありません。
挽いていてもすりつぶすような感触があります。

ボディを分解してカッター部を下からみるとこうなる

こちらがカッター部。清掃のために取り外すことができる。

ちなみにですが、コーヒー豆は荒いほど酸味が強くなり、
細かいほど苦みが強くなります。
さっぱりしているのか、コクがあるのかの違いです。
ただし細かすぎると雑味になるので、あまり美味しく感じなくなります。


雑味となるパウダー状の粉を省くと2.7gが残った。

粉を挽いたのち網で漉すとコーヒーの味の核となる部位が残ります。
パウダー状は雑味となってしまうのでこれが少ないほうがいい。
販売時のミルで挽いたところ、粒状のコーヒー豆は2.7gとなった。
5gを挽いたので2.3gは粉となった計算だ。
この原因はコーヒーミルの刃にある。
刃の先端が丸くなっており、しかも隙間がある。
豆がここでカットではなくすりつぶされてしまうのだ。
そこでこの刃を加工することにした。

本体にねじ止めされている刃も分解して取り出す。

こちらが取り出したミルの刃。

ダイソーで販売しているダイアモンドやすり。110円。
 カリタのKV-1Nの上刃は清掃のため無加工で取り外すことができる。
ボディ側の刃は木ネジで止めているのでこちらも取り外す。
これで上下のカッターが外れた。
ここで登場するのが庶民の味方、ダイソー。
工具コーナーに売っているダイアモンドやすりで、カッターの刃をたて直すのだ。


カッターの溝に沿ってやすりで刃をたて直していく。

約15分で全周が終わった。

下側の刃も同様にやすっていく。

上下の刃をたて直した。

バイスなどに刃を固定し、カッターの溝に沿ってやすっていく。
実に地道な作業だ。
そして大事なことはこの手間をかけてもコーヒーの味の違いは分からない。
きっとわからない。
あくまでも自己満足でしかないのだ。
それでも、ひとつづつ刃を立てていく。
上下合わせて30分ほどで完了した。
鉄の粉が付着しているので洗剤で洗いよく乾燥させる。
ちなみにカリタでは水洗い厳禁となっている。
鉄なので錆びるのだ。


組み立てると完成。

先ほどと同様に豆を5g入れて挽く。

無事に挽くことができ無意味に感動する。

十分に乾燥させたらミルを組み上げていく。
ネジの順番を間違えないようにしたい。
なお下刃の木ネジは元穴ではなく別の場所で固定した。
木ネジ(メス側)の再利用は基本的にできない。
そして加工前と同様に5gの豆を入れて挽いてみる。
当然ながら同じ豆である。
挽くと明らかに加工前を手ごたえが違う。
切れが良く、豆をカットしていく感触が伝わるのだ。
これは予想以上にいいかもしれない。


加工前の豆よりも粒状性が整っている。

パウダーを除いた豆は3.4g。成功だ!

左が加工前、右が加工後。

豆を挽く感触がなくなったのでボディを開けてみる。
当然なのだが豆が挽けている。
この当たり前のことが自分で加工した道具でできた結果にちょっと感動する。
肝心の豆だが紙に出してみると明らかにパウダーが少ない。
また粒も揃っている。
先ほどと同様に計量してみると粒の部分は3.4g!
0.7g多く挽くことができた。
5gの豆を挽いたのでなんと10%以上の粒が残ったことになる。

個人的にはこの豆だと1杯あたり9gの豆が美味しいと思う。
すると加工後では6.12gの豆からうま味が抽出されることになる。
ちなみに加工前だと4.68g。
その差、1.44g。
きっとこの差は分からない。
あくまでも自己満足の世界である。
が、コーヒーはそれでいいのだ。


最後の掃除もきっちりと。

なお今回の実験で使ったコーヒー豆は美味しくいただきました。
もちろん、加工前のもね。

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