あご当てのカスタム1

<はじめに>

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まずはバイオリンの話題から。
「 ヴァイオリンの起源は、中東を中心にイスラム圏で広く使用された擦弦楽器であるラバーブにあると考えられている。 」出典:wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3
これが発展して17世紀のイタリアで、アマティ家により現在のバイオリンの原型が確立されたそうです。
これを発展させたのがストラディバリウスやガルネリといったバイオリン製作家です。
そのバイオリンを弾くときには肩とあごでバイオリンを上下からはさむようにして持ちます。
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ガルネリタイプと呼ばれるあご当て。他にカウフマンタイプなどがある。

肩は肩当てという道具を使用したり、響きが悪くなるからと何もつけない人がいますが、あご当てを使用しない人ほぼいないでしょう。
流派や時代で大きさは変化していますが、今はこの形が主流のようです。
なのですが、フィッティングと呼ばれるこの手のパーツは多くが中国製。
それ自体はなんらいいのですが、バイオリンのメインマーケットは欧米。
その人たちにフィットする大きさや形なんですよ、このあご当てって。
どう考えても欧米人の顔に合わせて作ったものが日本人の顔に合う訳がないんですよね。
ところが 不思議なことに多くの、本当に多くのひとがこのあご当てを市販品のまま、たまにあごが当たる場所をかるく彫って使っています。
が、日本人の体格で使うにはやはり大きすぎるし、工場製では余分なぜい肉が多くあります。
ということであご当て加工しましょう。


何かをする際にはまずじっくり観察しましょう。
手に持ったり、顔に当ててみたり、それを鏡でみたり。
そうすると何が余分なのかが見えてきます。
こんどはその余分な部分に線を描いていきます。


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右側の張り出しは無駄な部分のひとつです。金具がもっと右についていれば応力も分散できるのでしょうけど。
さらに上の手前側の角は喉に当たって気になる部分ですのでカットしましょう。

もちろん強度は確保しつつです。
削った結果として弱くなって割れたり演奏中に外れてバイオリンが損傷するようでは身もふたもありません。
張り出して喉にあたる箇所や、逆にどこにも当たっていない場所を見つけ出します。
その上で美しい形にもこだわります。


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金具側が短くなることに合わせてあごを乗せる皿部もバランスを取るために小さくします。
が、あごが当たる部分の面積は変わりません。
あくまで実際には顔に触れていない無駄な部分だけを削ります。

機能を優先させつつ、見た目も大切にするのが職人というものです。
どちらかが欠けてもその作品は完成しません。
ちなみに重量はあご当て本体で34g、金具を入れると50gでした。
が、今回は軽量化が目的ではなく、あくまでもフィッティングの向上です。
軽量化は副産物のようなものです。


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金具はいまはチタン製なども出ているので軽量化が目的ならばそういったものに変えましょう。



あと鉛筆はみなさん濃いもので6Bなどを使っています。
駒やナットなど弦が当たる部分に鉛筆を塗って滑りをよくするのは定番の加工です。
が、世界で最も濃い鉛筆は三菱鉛筆の10Bなんですね。


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三菱鉛筆の10B。濃くて滑らかです。駒のフィッティングでも活躍します。
海外製よりも芯の粒状性が均一で非常に滑らかに線が引けます。
濃いので工作時に見やすいのも特長です。
もちろん駒やナットに使ってもいいです。
道具も自分が納得するものを使うようにしましょう。


話がそれました。
では削っていきましょう。
加工は次回に。

#バイオリン #フィッティング #あご当て #肩当て #DIY

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