あご当てのカスタム 2

<はじめに>

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こんにちは、ブレッソンです。

韓国では平昌オリンピックが開催中ですが、今回に限ったことではなく商業主義や政治に縛られたスポーツにはあまり興味がなく。
そんな中で頑張る選手たちのプレッシャーも大変だと思います。
学生時代はラグビーや水泳をしていたので、スポーツは嫌いではないのですけど。
友人に元オリンピック選手がいますが、プライベートで遊んでいるときの姿はとても楽しそうなんです。
もっと選手が楽しめるような祭典になればいいなと思います。


さて、あご当ての続きをしましょう。
けがいた線に合わせてあご当てを削っていきます。

ナイフは数年前に購入した切り出し。ハンドルカバーなどは自分で製作しています。

このサイズの木工加工に大きな工具は必要ありません。
また線に合わせていきなりやすり掛けする人もいますが、あれはラインが分かりにくくなります。
やすり掛けは最後にナイフでできた凸凹をならすのが目的なのです。
まずナイフで削ります。
しっかり研いだナイフであれば作業も楽ですし、ラインも綺麗にでます。

サドル側を削ってからラインを決めていきます。

大まかな形を作ってから、デコボコの凸をそいでいきます。
まずは最初の鉛筆のラインに合わせます。

機械製だけあり裏側は工具の跡が残っていますしラインも美しくありません。

テールピース側は機械製だけあり、刃の跡が残っていたりします。
バイオリンに触れる脚からあご当てにかけてのラインも段差があります。
そもそも美しくないので、できる限り修正していきます。


強度も考えつつ完成した姿を考えて削ります。

裏側は見えないところですが、完成度が問われる部分でもあります。
見えないところをどこまで丁寧に仕上げられるかが大切です。
以前、エルメスの時計ベルトの修復依頼があり分解したところ、
オーナーが一生見ることはないであろうベルトの内部まで非常に丁寧に作りこまれていて感心したことがあります。
少なくともエルメスには価格なりの価値があると思いました。
私もそんな仕事をする人でありたいと努力しましょう。


ここは丸刀を使って彫っていきます。

へこんでいる部分は彫刻刀の丸刀で行います。
この彫刻刀は小学生の頃に親父が買ってくれたもの。
いい鋼材を使っているので研いでやれば30年以上前の彫刻刀でも現役です。
親父は小学生の子供に彫刻刀だけでなく、切り出しナイフやノミ、カンナ、鋸などを買い与え、研ぎ方なども教えてくれました。
彼は木工職人などではなかったのですが、いいことを教えてもらったと感謝しています。

あごがかかる部分は使い勝手に最も影響する部分です。
欧米人に比べてあごが小さめのアジア人は、
あごがかかる部分の彫りを深くすることであごがかかりやすくなり、
弾きやすさや疲れにくさもまったく違ってきます。

私がバイオリンを手にしたのはモノつくりをするようになってからなので、
その使いにくさや持ちにくさを改善する方法を考え、
最初のバイオリンからあご当て、肩当て、ペグなどを改造しましたが、
子供のころからバイオリンをやっている人にはこれが常識なのでしょうか。
また、私は日本人平均よりも大柄な体格ですが、
小柄な方は脚の部分を削ってあご当てを低くすることも考えたほうがいい気がします。


多少の軽量化にはなりました。

ちなみに削り終わった時点で重量は31g。
軽量化が目的ではありませんが、約3g軽くなりました。
全体の形が決まったので、次回はやすり掛けとニス塗りを行います。

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